熱性けいれんは急な発熱に伴って意識障害、けいれん発作がみられる病気で、6か月から6歳頃の乳幼児に多くみられます。
急激に体温が変化するときに起こり、両親どちらかに熱性けいれんの既往がある場合の半数近くが繰り返すといわれていますが、成長に伴い6歳前後でほとんど起こさなくなり経過は良好です。小児の病気のなかでは救急車で救急外来を受診することの多い疾患の1つで、熱性けいれんの既往は日本人では100人の小児のうち約8人にみられます。
熱性けいれんが起こる原因は、発育途上のまだ弱く幼い脳神経細胞が、急な体温変化に弱いために起こります。
遺伝的な要因もあり、両親に熱性けいれんがあると2~3倍頻度が多くなるといわれます。また男児にやや多いようです。
発熱の原因として突発性発疹、夏風邪、インフルエンザなど急に高熱を出す疾患で多いようですが、高熱をきたす疾患はすべてけいれんのきっかけになります。
症状としては
・けいれん
自分の意思とは関係なく、発作的に筋肉の収縮が起こることで、熱性けいれんでは全身けいれんのうち強直発作(全身が硬直するけいれん)が多くみられます。
急に手足をかたくして突っ張る、手足をぴくぴくさせる、初めはかたく次第にぴくぴくするなど、体全体、半身や四肢の一部に起こります。
なかには四肢がぐったりして脱力することもあります。
・発熱
体温が急に上昇するときに起きることが多いですが、時にはけいれん時は平熱で、その後に体温の上昇がみられることもあります。
・意識障害
けいれん中は呼びかけに応えません。そして、けいれん後もしばらく寝てしまうことがあります(けいれん発作後睡眠)。
お家での対応方法としてまず大事なことは保護者の方がパニックにならず落ち着くことです。ほとんどの熱性けいれんは5分以内に自然におさまってきます。
けいれんが起こったら
①最初に倒れたり物にぶつかってけがをしないように、安全な場所に横に寝かせること
②嘔吐することもあるので顔や体を横向きにして、吐物がつまらないようにすること。
③口にものを噛ませるのは、呼吸ができなくなる可能性があるのでしないこと。
④5分以上けいれん発作が続く場合は救急車を呼びましょう。また痙攣が止まっても呼びかけに反応しない、発作を繰り返す場合もすぐに医療機関を受診してください。
⑤可能であれば発作が始まった時刻、続いた時間、けいれん中の様子(全身がぴくぴくしていたのか、左右両方か、片方だけか、目はどこを向いていたかなど)を覚えておくと診察時に役立ちます。動画を残しておくとよいでしょう。
予防としては、けいれん時間が長い、家族内に熱性けいれんの既往者がいる、過去に複数回熱性けいれんがあったなどの場合、ダイアップ座薬というけいれん止めを使用することがあります。適切に使用すると多くの熱性けいれんは予防できます。
多くの方は熱性けいれんを起こすことは1回と言われており、初回の熱性けいれんの際は処方されないことがほとんどです。