近日、アデノウイルス感染症が流行しています。
アデノウイルスとは、呼吸器、目、腸、泌尿器などに感染症を起こす原因ウイルスです。
ウイルスの型が80種以上もあるため、一度感染しても別の型に感染、発症するなど免疫が
できにくく繰り返しかかることもあります。
アデノウイルス感染症の症状には、以下のような症状があります。
・呼吸器感染症
発熱、咳、咽頭痛、咽頭炎などを引き起こし、
悪化すると気管支炎や肺炎を起こすこともあります。
・咽頭結膜熱(プール熱)
主な症状は持続する高熱、咽頭痛、咽頭炎、および結膜炎です。
夏季にプールを介した流行があることから「プール熱」ともよばれます。
・胃腸炎
下痢、嘔吐、腹痛などの症状があります。発熱を伴う場合もあります。
乳幼児期に多いのが特徴です。
下痢は1~2週間継続することがあります。
・結膜炎、膀胱炎など
高熱が出ることはありませんが、目ヤニや目の充血がある流行性結膜炎や、
血尿が出ることがあり出血性膀胱炎などの症状も出ることがあります。
当クリニックでは、咽頭を綿棒でこすって検査を行うことができます。
結果は約10分で判定できます。
アデノウイルスの感染経路としては、飛沫感染、接触感染、糞口感染です。
飛沫感染は感染者の咳やくしゃみによって広がり、接触感染はタオルの共有など、ウイルスについた物を触れることによって起こります。糞口感染は、アデノウイルスは便にも排出されるため、それによって感染は引き起こされます。おむつの取り扱いにも十分に注意して、おむつ交換後は流水・石鹸による手洗いをしっかりしましょう。
治療としては、症状をやわらげる対症療法が中心となります。ウイルスなので抗生物質は効きません。高熱が続く場合も、水分が取れていて、尿もきちんと出ていれば大きな心配はいりません。
のどの痛みが強い時は、飲食することを嫌がる場合があります。熱いものは痛みを感じやすいので避け、冷たいものやのどごしの良いものを食べさせてあげてください。食事がとれない場合でも、水分はこまめにあげてください。
ほかの兄弟や大人への感染を拡げないために、ご家庭でできる対策には以下のものがあります。
・アデノウイルスは、唾液、涙、鼻水、便などから感染します。2~3週間は便にウイルスが排泄されるので、下痢が続いている間は感染予防処置、こまめな手洗いを継続しましょう。
・大人でもうつるため、家族間でもタオルは別々のものを使用しましょう。
・アルコール消毒ではウイルスは死滅しません。次亜塩素酸が有効です。
咽頭結膜熱に関しては、学校保健法(学校・幼稚園・保育園)第二種伝染病に位置づけられており、主要症状が消退した後2日を経過するまで出席停止とされています。登校や登園には治癒証明書が必要になります。
その他の症状に関しても、基本的には解熱してすべての症状が落ちついたとあと2日経ってから出席できるようになります。