当院では、各種予防接種を受けることができます。現在の定期予防接種は生後2ヶ月からが開始するのが一般的になっています。生後2ヶ月からできる予防接種のひとつに小児肺炎球菌ワクチンがあります。
肺炎球菌は、乳幼児の鼻咽頭に高率に定着する常在菌です。咳やくしゃみ、会話などで発生する飛沫を介して感染しますが保菌者のすべてが発症するわけではありません。しかし、免疫力の低下などで菌が体内に侵入することで、髄膜炎、敗血症・菌血症、肺炎、中耳炎などさまざまな病気を引き起こし、大人では肺炎になることが多いと言われます。乳幼児の場合は肺炎のほかにも中耳炎や菌が脳を包む膜まで入り込む【細菌性髄膜炎】という怖い病気になることがあります。細菌性髄膜炎などは、本来無菌であるべき部位(血液・髄液など)から菌が入り込む重篤な病気であり、2歳未満の乳幼児で特にリスクが高く、ときに命に係わる状態になると言われています。また救命ができたとしても後遺症を残す可能性もあり、たいへん怖い常在菌になります。
生まれたばかりの赤ちゃんには居ないとされる菌ですが、さまざまな人と触れ合ったり、集団生活で過ごしたりしているうちに保菌者になるため、いつ、だれに肺炎球菌が原因の病気が起きてもおかしくありません。
また、治療で問題となるのが、肺炎球菌に対して抗菌剤が効かない場合があるということです。これまで、日本では子どもの発熱時などに抗菌剤を頻繁に使用していたため、菌が抗菌剤に対して抵抗力を持つようになったことが要因とされます。そのため、病気になって治療をするよりも、かからないことが大切となってきます。
肺炎球菌ワクチンは、これらの重篤な感染症を明確に予防する効果が認められているワクチンです。一般的な予防接種スケジュールでは、生後2ヶ月・生後3か月・生後4か月と1歳を迎えた合計4回の接種が必要になります。
肺炎球菌の感染で重篤になる患者の年齢分布は小児(5歳未満)と高齢者が多いという報告もあり、早期にワクチンを接種し免疫を獲得しておくことが望ましいとされ生後2ヶ月からの接種となっています。前回掲載したロタウイルスワクチンとヒブワクチンと同時に接種が可能なワクチンとなります。
肺炎球菌ワクチンを定期接種として接種できる年齢にも制限があります。接種忘れなどに気付いたら早めに接種を行いましょう。
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