当院では、各種予防接種を受けることができます。現在の定期予防接種は生後2ヶ月からが開始するのが一般的になっています。
一般的に、1歳になったら接種できるワクチンに水痘(みずぼうそう)ワクチンがあります。
水痘は『みずぼうそう』と呼ばれ、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の初感染によって起こる全身性の感染症です。感染力は強く、ワクチン接種をしなければ10歳までに約80%の小児がかかるといわれてきました。水痘の主な症状は発疹と発熱です。発疹は、皮膚の表面が赤くなる紅斑から水ぶくれを経てかさぶたになるという経過をたどります。発疹のピークの際は、すべての発疹が混在しているのが特徴です。一般に水疱の数は症状が出てから数日以内に250~500個以上に増えますが、ワクチンを接種している場合は発疹の数が抑えられる場合があります。発熱の程度は通常38℃前後で2~3日続きますが、40℃を超えることもあり、その際に熱性けいれんを合併していることがあります。基本的には1週間程度の経過で治癒することがほとんどで、健康な小児の場合は、一般に軽症で済みますが、中には重症化し、入院が必要となったり、死亡したりすることもあります。成人では小児に比較して重症化することが多くなり、死に至る危険性もあります。潜伏期は2~3週間とされています。
合併症としては、小児で注意が必要なのは上記の熱性けいれんに加え、気管支炎、肺炎などです。かゆみがあり水疱の部分を搔き壊してしまい、細菌の二次感染を起こすこともよくあり、跡が残るお子さんもおられます。また、二次感染からとびひ・蜂巣炎・膿瘍・敗血症に進展する場合もあります。
近年、保育園や幼稚園に入所する児童数が増加しており、感染すると登園可能になるまで1週間程度必要であり、保護者もその間仕事を休まなければならず、ワクチンにより予防しておくことは、本人、保護者にとってもメリットがあるといえます。
免疫機能が低下するような疾患にかかっている方がかかると重症化しやすく、最悪の場合は死に至る場合があります。妊婦の水疱は重症化しやすいと言われておりますが、出産前5日から出産後2日までの女性が発症すると、出生した児は極めて重症な水痘を発症します。また、妊娠20週までの妊婦が水痘にかかった場合、約2%の児が先天性水痘症候群(低出生体重児・四肢低形成・局所的な筋委縮・脳炎・小頭症など)を発症します。そのため、妊婦さんがいらっしゃるご家庭のお子様が水痘にかかった場合は、より注意が必要になります。
水痘ワクチンは、1歳のお誕生日を迎えたらなるべく早く接種し、免疫をつけることが大切です。特に集団生活へ入られるご予定のあるお子さまは、水痘にかかる可能性が高くなりますので、早めの接種をお勧めしています。1回目は1歳で接種し、接種後3ヶ月以上の間隔をあけて3歳になるまでに2回目の接種を行います。3歳を迎えられたあとの接種は定期接種の対象外となりますので注意が必要です。また、水痘ワクチンを接種する前、もしくは1回目の接種後に水痘にかかった方は定期予防接種としてのワクチン接種ができなくなります。その際は水痘にかかったことを接種前にスタッフにお知らせください。
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