今日は、近年で増加傾向にあると言われている『卵黄』が原因となる消化管アレルギーについてお伝えします。
『鶏卵』は乳幼児期の食物アレルギーの原因となる食物の第1位に位置しており、一般的には卵黄よりも卵白でアレルギー反応が起こるお子さまが多く、その多くは年齢と共に食べられるようになると言われています。そして症状の出現は、原因となる食物を摂取してから数分~1時間以内に蕁麻疹などが出現する即時型が多く、保護者の方も症状の出現に気付きやすいです。しかし、原因となる食物を摂取して数時間以上経過し、嘔吐や下痢、ときには血便の症状を呈する消化管アレルギーといわれる疾患もあり、アレルギー反応であることに気付きにくいアレルギーがあります。
消化管アレルギーの主な原因は、牛乳であることは分かっていましたが、最近では『卵黄』が原因となる消化管アレルギーの増加がみられています。当クリニックでも、卵黄での消化管アレルギーの疑いがある乳幼児の方の受診はよく見られています。そのお子さまの受診時の症状は「離乳食で卵黄を食べてから2時間以上経過してから突然嘔吐し、その後ぐったりした」「朝食で卵黄を食べて、お昼寝をしていたところ突然起きて嘔吐した」など胃腸炎のような症状を呈しています。消化管アレルギーを疑う場合、当クリニックでは原因と思われる食物の摂取を最低1ヶ月程は除去をしていただき、再開時には耳かき1さじ程度の少量から開始し、症状の出現があるかどうかを観察、症状がみられた場合は再受診を勧めています。消化管アレルギーでは食物摂取後、すぐに症状がみられる食物アレルギーと異なり血液検査では原因となる食物への陽性反応が見られないことが多く、またアレルギーを抑えるお薬を使用しても症状の改善は見られないという特徴があります。そのため、特別な治療法はなく、保護者の方から症状を聞き取りし、今後の卵黄の摂取について一緒に考えていきます。消化管アレルギーのお子さまの多くは、年齢と共に症状が見られなくなり自然治癒をすると言われています。そのため、アレルギーかなと迷ったときは自己判断で原因と思われる食物を除去するのではなく、一度医療機関を受診し、ご相談していただくことをお勧めします。