日本脳炎ワクチンについて💉

当院では、各種予防接種を受けることができます。現在の定期予防接種は生後2ヶ月からが開始するのが一般的になっています。
一般的に、3歳になったら接種できるワクチンに日本脳炎ワクチンがあります。
ブタに生息する日本脳炎ウイルスは、わが国では主にコガタアカイエカという蚊によって媒介されます。ブタと蚊の間で感染が起こるとされていますが、ブタは感染していても通常、症状が現れません。しかし、感染しているブタの血液を吸った蚊がヒトを刺すことでヒトにも感染が起こり、感染した人のうち100~1000人に1人が脳炎症状を発症すると報告されています。発症すると高熱、頭痛、嘔吐、意識障害やけいれんなどの症状を示す急性脳炎を起こします。致命率は20~40%(脳炎症状後の致命率は18%)で、幼少児や高齢者では死亡のリスクが高く、生存者の45~70%に精神障害や運動障害などの後遺症が残るとされています。特に小児では重度の障害を残すことが多いとされています。
コガタアカイエカは水田や沼地などの大きな水たまりに産卵する性質があり、暑い日中よりも日没以降から活動が活発になることから、日没以降に野外に出る際は、虫よけスプレーや長袖や長ズボンを着用して肌を露出しないように工夫をしたりして蚊に刺されないように予防することも大切な予防法のひとつです。
 日本脳炎ウイルスのヒトへの感染においてブタは重要な役割を果たしています。ブタは感染すると体内で多量のウイルスが体内で増殖し、血液中にウイルスが検出されるウイルス血症を起こします。最近、野生のイノシシもブタと同様、感染後にウイルス血症を起こす動物として注目されています。
 日本脳炎の患者発生は近年少なくなっていますが、2016年を除き毎年10人以下が西日本を中心に発生しています。2016年は25年ぶりに10人を超え、報告数は11人となりました。
 日本脳炎ワクチンは生後6ヶ月から接種は可能とされており、過去に日本脳炎患者の発生が認められている地域では、3歳よりも早期にワクチン接種が推奨されているところもあります。岡山県でも一部地域では、早期接種が推奨されています。また、自宅の近くに養豚場がある場合も早期接種をお勧めしています。
日本脳炎ワクチンは、全部で4回の接種になります。通常では第Ⅰ期として3歳のお誕生日を迎えたら接種を開始し、1回目の接種後1ヶ月以上の間隔をあけて2回目の接種を行います。2回目から3回目の接種までは、1年の間隔をあけて、3歳~4歳の間に3回接種をするようになります。第Ⅰ期は7歳5ヶ月までが定期予防接種の年齢対象になりますので、接種忘れに気付きましたら可能な限り早めに接種をしていただくことをお勧めします。第Ⅱ期として、4回目は9歳~12歳の間で接種をします。お住いの地域によっては、9歳のお誕生日を迎えたころにご案内のハガキが届きます。

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