季節外れの手足口病の患者さまが増加中です。
手足口病は、子どもが罹りやすく一般的に夏季に流行しやすい感染症のひとつです。
感染してから3~5日後に、口の中、手のひら、足の裏や甲、おしりなどに2~3mmの痛みを伴う水疱性発疹が出ます。発熱は約3分の1にみられます。発疹の症状には個人差があり、多数の発疹がみられることもあれば、わずかな発疹に留まることもあります。主な感染経路は、飛沫や接触、排泄物に含まれるウイルスとなります。熱は数日でさがり、発疹は1週間ほどでかさぶたになって治ってきますが、回復後も2~4週間は、だ液や便からウイルスが排出されるので、手洗いや排泄物の処理に注意をしてください。
原因となるのはコクサッキーウイルスやエンテロウイルスなど複数のウイルスであると言われています。水疱性発疹が口腔内のみに留まると【ヘルパンギーナ】という病名になりますが原因となるウイルスはほとんど同じです。
手足口病の治療には、特効薬はありません。症状に合わせて解熱鎮痛剤などを使用します。発疹に対するステロイド外用薬の塗布なども効果は見られません。症状の改善時に、発疹部位の皮がめくれてくることがありますが、自然に落ち着くまで様子を見てください。
手足口病で最も問題となるのが、口腔内にできた水疱性発疹による痛みや違和感で食事や水分が摂れなくなることです。その状態が続くと「脱水症状」を起こすことがあります。 食事は刺激物を避け、ゼリーやうどん、おかゆ、豆腐など、のどごしのよい食べ物を与えるようにしましょう。熱い食べ物は痛みを感じやすくなりますので、注意が必要です。
保育園などで流行しやすいですが、手足口病は出席停止が定められている病気ではありません。発疹が出ていても、「全身状態が安定しており、発熱がなく食事がとれる状態」であれば登園・登校は可能です。食事が満足に取れない場合は、自宅で療養することをお勧めします。それぞれの園や学校によって、独自の基準が定められている場合があるので確認をしてください。
月別アーカイブ: 2024年12月
食育だより 冬 Vol.2
にじいろクリニックの管理栄養士 大前さんによる食育ブログです!
ぜひ離乳食の参考になさってくださいね!
栄養相談も随時、受付中です。
胃腸炎に注意を🤮
12月に入り朝、晩とぐっと気温がさがる日が増えましたね。もうすぐクリスマスにお正月と楽しいイベントが待っています。
2学期の終業式も控えており、子どもさんたちもワクワクしている子が多いのかなと思っています。
年末年始には帰省を予定しているご家族もきっと多く、普段はなかなか会えない方と会えたり、ご馳走をたくさん食べたりする機会も多いと思います。
食べ物がおいしい時期でもありますが、胃腸炎が流行しやすい時期でもあります。
この時期に有名な牡蠣によるノロウイルス胃腸炎はご存じの方も多いと思います。
さまざまなウイルスが原因で起こる胃腸炎は、最初に嘔吐症状や腹痛から始まり、水分や食事が取れなくなり、嘔吐が落ち着いてくる頃に下痢になったりすることで、ひどい時には脱水症状を引き起こしたりする可能性があります。とくに体の水分量が多いとされる子どもは、半日以上、嘔吐が続き、水分が取れないと大人よりも短時間で脱水になりやすいと言われています。食事が取れないと不安になる親御さんもいらっしゃると思いますが、胃腸炎の症状があるときは水分が取れるかどうかに留意してください。水分も取れない状態で食事を開始しようとしても胃の受け入れができず、さらに嘔吐を引き起こしかねません。水分は一度に多量に取るのではなく、キャップ1杯分の量から飲水し、徐々に1回量を増やしていくという【少量を頻回に】がポイントとなります。また、水分もお茶や水ではなく、経口補水液など体に吸収されやすく、電解質のバランスを整えてくれるようなものを推奨しています。お茶や水には、糖分が含まれておらず嘔吐や下痢によって体内から奪われている電解質を補うことができず、低血糖になったりすることもあります。少量の水分を飲水しただけでも嘔吐を繰り返すようであれば、必要時は点滴などで水分を体にいれてあげる処置が必要なこともありますので、早めに病院を受診しましょう。
胃腸炎は、嘔吐物や便・だ液などにウイルスが含まれており、そのうえ感染力も強く、アルコールでは消毒効果がありません。次亜塩素酸ナトリウム(哺乳瓶を消毒するときに使用する液)での消毒が効果的です。症状がある人の使用したものは共用しないのはもちろんのことですが、嘔吐物などの処理にはマスク・手袋を着用し、拭いたり、洗うことができるものは次亜塩素酸を薄めたもので拭いたり、浸けおきして洗濯するのが効果的です。掃除には可能な限り次亜塩素酸を使用してください。
おむつかぶれについて
寒くなりさまざまな感染症の流行が見られ始めています。
インフルエンザを始め、冬季に多い感染症で胃腸炎の症状を呈している患者さまも多くみられるようになってきました。胃腸炎の際に、おむつを使用している年齢のお子さまに起こりやすいものとして、下痢や軟便による『おむつかぶれ』になります。おむつを使用しているだけでも湿潤環境ができやすく、皮膚に炎症を起こす可能性があるうえに、胃腸炎による頻回な排便はさらにその可能性をあげてしまい、お子さまにとって非常に不快な症状となり得ます。
おむつかぶれとは、おむつに覆われている部分におこる皮膚の炎症です。
おむつ皮膚炎ともよばれます。
症状としては、肛門や外陰部が赤くなり小さな湿疹ができます。
程度は様々ですが、悪化すると皮膚がただれ、その部分から出血することもあります。
多くの場合、かゆみや痛みを伴います。
その原因となるのは、おむつの中の汗や尿・軟便による高温多湿環境です。
この状態は皮膚をふやかしバリア機能を低下させ、尿と便によって発生したアンモニアが皮膚環境をアルカリ性にします。アルカリ環境では、便中の酵素が皮膚炎を起こしやすくなります。
また、おむつによるそのものの刺激、おしりふきの物理的刺激なども、かぶれの原因となります。
これからの時期、胃腸炎の流行がみられやすくなりますが、頻回な下痢や皮膚に張り付くような柔らかさの便も原因となってきます。
おむつかぶれの予防とホームケアでは、お尻をなるべく清潔にし、風通しをよくすることが第一です。
•おむつをこまめに交換する
蒸れた状態を長時間おいておくと、皮膚のバリア機能が低下してしまいます。
下痢の場合は刺激が強いのでとくに注意が必要です。
また、おむつはサイズの合った、通気性の良いものを使用しましょう。
•おしりを強く拭き過ぎない
おむつかぶれの悪化因子として摩擦は大きな部分を占めます。
おしりふきで強くこすらず、そっとつまむように便をとってあげましょう。
シャワーで流す場合も、ぬるま湯で優しく洗い流し、こすらずやさしく押し拭きします。
•おしりを乾燥させる
皮膚が濡れた状態だと、おむつの中が蒸れた状態になってしまいます。可能ならおむつを交換したあと、部屋を適温に保ちおむつを履かせず乾燥させます。
•保湿剤、外用薬を使用する
乾燥は肌のバリア機能を低下させる大きな要因なので、ワセリンや保湿剤などで保湿・皮膚の保護をしてあげましょう。また、炎症を抑える外用薬の適切な使用で改善が期待できます。
ケアをしてもなかなか症状が改善しないときは、おむつかぶれではなくカンジダ皮膚炎の可能性があります。
おむつかぶれとは治療方法が異なるため、間違った対処をおこなうとかえって悪化してしまうので注意が必要です。