便秘とは、便が出にくい状態、あるいは便が滞っている状態のことです。一般的には週に3回より少なかったり、排便時に痛みや出血を伴ったりする時に便秘と考えます。
また、いきんでいるのになかなか便が出てこずに本人が苦しがっている、排便後に硬い便に血液が付着しているなどの状態が1~2ヵ月以上にわたって続いているなども、治療を受けるべき便秘といえます。
便秘に加えて陰のうや股のつけねを痛がる、腹痛がありどんどんひどくなっていて我慢できない、お腹がパンパンにふくらんでいる、不機嫌で泣き続けている、コーヒーの残りかすのようなものを吐いた、発熱を伴うなどの症状を伴う場合は、急いで医療機関を受診しましょう。腹痛があっても、痛がる部分がおへそのあたり、元気で食欲もある、痛みが軽く悪化していない、少しでも排便をしたら痛みが和らいだという場合は、自宅で安静にし、日中など病院が開いている時間に医療機関を受診しても問題はありません。しかし、症状が悪化してきている様子がみられればすぐに医療機関を受診しましょう。
子どもは、器質的な疾患がなく排便機能がまだ発達段階のためにおこる機能性の便秘症がとても多いです。
便秘を発症しやすい時期や契機としては
などと言われています。
一方、病気が原因による便秘の場合は、内科的なものと外科的なものに分類されます。
内科的な場合には、ホルモンの分泌や代謝の異常、精神発達の遅延、精神的な問題、薬剤性などが便秘の原因になると考えられています。
外科的な場合は、直腸や肛門の形態に問題があるものや、腸の神経異常によるもの、脊髄神経の異常によるもの、骨盤内の病変によるものがあります。
子どもの便秘の原因については、日常生活も深くかかわっていることが考えられています。特に最近の子どもは食生活の欧米化に伴い、野菜や食物繊維を多く含む食材の摂取量が少なく、肉などの摂取量が多い傾向にあります。また、夜型の生活になってしまっている子どもも増え、朝寝坊して朝食を欠食したり、朝便意を催してもトイレに行く時間がなく、我慢を繰り返したりして、便秘になるということもあります。
子どもが便秘のときは、乳児であればお腹のマッサージや綿棒などで肛門を刺激するなどをやってみてもよいかもしれません。
ある程度の年齢の子の場合は生活習慣の見直しから始めましょう。
十分な睡眠と早寝早起きを心がけ、朝ご飯をしっかりと食べ、ゆっくりとトイレをできる時間をつくりましょう。便が出なくてもトイレタイムはリラックスして過ごしましょう。
そして適度な運動は腸の動きを整えるのに大切です。日頃から軽くてもよいので運動を続けましょう。食生活では、野菜や果物、海藻類やキノコ類、こんにゃくや全粒粉のパンなど、食物繊維を多く含む食材を意識して摂るようにしましょう。普段食べる白米の1割を大麦に変えるだけでも、食物繊維の摂取量はアップします。おやつにも、プルーンやポップコーンといった食物繊維多めのものを取り入れてみましょう。その他、適量の水分や納豆、乳酸菌飲料、ヨーグルトなどもお腹を整えるのに有用です。排便を我慢すると便秘が悪化します。便秘を感じたら我慢せずにトイレに行くようにしましょう。学校で排便しにくい子は必ず朝に排便するように習慣づけましょう。
便秘の症状で小児科を受診された場合、器質的な原因がないか、問診や診察、検査などを行い確認します。検査は採血やレントゲン撮影などを行う場合があります。 器質的な疾患が原因であった場合にはその疾患に対する治療を行います。外科的な疾患が疑われる場合は小児外科医のいる病院へ紹介します。器質的な疾患のない機能性の便秘症の場合、まずは浣腸をしてたまっている便を排出させます。その後、お薬を使って便を軟らかくしたり腸の調子を整えたりして自然な排便が確立できるまでサポートしていきます。