下痢

子どもの下痢

写真:子供の下痢

子どもの下痢は感染性胃腸炎(いわいる嘔吐下痢症)によるものが多く、対症療法のみでだいたい2週間以内に改善します。ただ、下痢が頻回だったり、量が多くぐったりしてきたり、血が混じっていたりするようなものは早めに病院を受診しましょう。また、2週間以上続くような下痢も一度病院へご相談ください。
離乳食が始まるまでの赤ちゃんはだいたい便は軟らかく、新生児ではほとんど水成分です。普段から便の回数や色・性状などを確認し、それと比較して便の回数がすごく多い時などはお腹の調子をくずしているかもしれません。
下痢以外の症状はなく、食事や水分もとれ、活気もあり、おしっこもちゃんと出ているようであればしばらく自宅で経過をみてもよいでしょう。

下痢の他に次のような症状があれば、早めに病院を受診してください

  • 何回も吐く。水分がとれない。
  • 熱が高い
  • 排便後も激しい腹痛が続く
  • 下痢が続き、だんだんとぐったりしてきた
  • 便に血が混じる。便の色がいつもと違う。
  • おしっこが半日以上でていない。

病院を受診する際には子どもの便の写真やおむつをビニール袋に入れて持参すると診察に役立ちます。

子どもが下痢を起こす原因

子どもが下痢を起こす原因としてはウイルスや細菌による感染性胃腸炎が多いのですが、感冒や尿路感染症、虫垂炎などに伴って下痢になる事もしばしばあります。慢性的な下痢であれば、アレルギーやストレス(過敏性腸症候群)、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、亜鉛欠乏などが原因となっている場合もあります。血便が出る腸重積症は、それそのものとして下痢は多くはないのですが、腸炎による腸管浮腫がきっかけで起こる場合もあり、その場合は下痢を伴います。他には、ロタウイルスなどによる胃腸炎後に二次性乳糖不耐症がおこる事があります。これは乳糖を分解する酵素の活性が低下するため、下痢や腹痛などがひきおこされる病態です。通常は一過性で徐々に改善していきます。時に薬や乳糖を含まない調製粉乳を使用する場合があります。病気以外では抗生剤など薬による下痢もあります。その時は原因となる薬剤を中止すれば改善しますが、勝手に中止したりせず、まずは薬を処方された病院で相談しましょう。種類や飲み方を調整したり、整腸剤などで症状を和らげながら経過をみていく方法もあります。

子どもが下痢のときは

子どもが下痢であっても、機嫌もよく、水分もしっかりととれ、おしっこもちゃんと出ているようであれば自宅で経過観察も可能です。下痢の回数が増えてきた、血液が混じるようになった、お腹の痛みが強くなってきたなど、症状が変化してきた場合には病院を受診して下さい。
次に、脱水を予防するために水分摂取をしっかりと行いましょう。下痢の量が多いと水分が多量に失われていきます。下痢で失われる量よりも多くの水分をこまめに摂取していきましょう。嘔吐を伴うときや下痢の量が多いときは経口補水液(OS-1®)がおすすめです。
急性胃腸炎に伴う下痢の時の食事はお腹に刺激が少なく消化の良い食べ物がおすすめですが、おかゆでも通常の白米でも下痢が改善するまでの期間に差は認められなかったという報告があり、脂肪分の多い食事や炭酸飲料、果物、ジュースなど糖分の多い食事さえ避ければ、あとは年齢に応じた食事でよいとされています。人工乳を飲んでいる場合、うすめても下痢が回復するまでの経過は変わらないとの報告もあり、原則希釈する必要はありません。
また、頻回に下痢をするとおしりの皮膚が赤くなったり、ただれる事がよくあります。なるべくこまめにおむつを替えて、ぬるま湯で洗い流し、こすらず押さえるように優しく拭くと刺激を減らせます。おしりが赤くなり出したら早めに塗り薬で保護してあげましょう。
子どもが下痢をしている時、その下痢がもしも感染性の病気が原因であった場合には対応している大人や家族にも感染をする可能性があります。感染性の下痢の可能性がある場合には、オムツ交換などの対応をした後には、必ず石鹸で手を洗うようにしましょう。

下痢症状に対する小児科診療

まずどのような色・性状の便が1日に何回程度でているか、下痢以外の症状はどうかを確認します。可能であれば便の写真を撮影するか、おむつであれば袋に入れて持参しておきましょう。感染性胃腸炎が疑われる場合は便の培養検査などを行う場合もあります。
診察ではお腹の音を聴診したり触ったりしながら、お腹の状態を確認します。子どもは様々な病気の一症状として下痢を起こす事があるため、お腹以外の診察や、嘔吐・発熱といった下痢以外の症状の有無も確認し、脱水の程度やおしりのただれ等についても確認していきます。
下痢症状に対する治療方法は、おおむね「その原因に対する対処」です。感染性の下痢の場合、お腹の動きをおさえるタイプの下痢止めは使用しません。病原菌が長くお腹にとどまってしまうためです。多くは整腸剤などを使用しながら経過をみていきます。その他、抗生剤が原因の場合はその必要性を慎重に見極めたうえで中止するか、整腸剤を併用しながら内服を継続するかを検討していきます。