皮膚にできるぶつぶつのことを、ひとくくりにして発疹といいます。
発疹のみで緊急となる事はあまりありません。他の症状が一緒に出ているかどうかや全身状態はどうかなどが大切になってきます。
例えば、食後にじんま疹が全身に広がるだけではなく、呼吸もしんどそうになったりするようであれば緊急性が高い状態です。逆に、皮膚に発疹ができているが熱はなく、機嫌も良く、食欲も普段と変わらないという場合には、自宅で安静にしていても問題がありません。ただし、安静にしている中で状態が悪化してきたとき、自宅安静を決めた時と明らかに症状が異なったときには、すぐに医療機関を受診してください。
子どもが皮膚にぶつぶつができてしまう理由はいろいろとあります。
1つ目は、感染症によるものです。皮膚にぶつぶつができてしまう感染症には、麻疹(はしか)、風疹(三日はしか)、水痘(水ぼうそう)、手足口病、伝染性膿痂疹(とびひ)などがあります。これらの病気は、原因となるウイルスや細菌などに感染することで発症し、普段の皮膚の状態の良し悪しに関わらず、感染症の症状として皮膚のぶつぶつが出てくるものです。ほとんどの病気が、ウイルスや細菌に感染して発症したタイミングで皮膚にぶつぶつができますが、中には伝染性紅斑(リンゴ病)のように、発熱や倦怠感などの軽微な症状の後に治ったころに皮膚のぶつぶつが出てくるものもあります。
なお、これらの病気はすべて感染性があるため、医師から診断を受けた場合、感染症法の定めによって園や学校が出席停止となる場合があります。
2つ目はアレルギーなどによるものです。アレルギーによってぶつぶつがでてくるのは、じんま疹、アトピー性皮膚炎などです。アレルギーのある物を食べたり触ったりすることによって、皮膚にぶつぶつが出てきます。ただ、じんま疹はアレルギーだけでなく、温度差やストレス、感染症などがきっかけでも起こることがあり、原因がはっきりとしない場合がよくあります。
3つ目は皮膚そのものにトラブルが起こった場合です。例えば、乳児期ならば、皮脂が過剰に分泌されることによってできる「脂漏性皮膚炎」などがあります。
子どもの皮膚に異常が見られた場合、とびひのような細菌感染症によるものであれば 抗生剤による治療を行うことで早く治す事ができます。全身性のウイルス感染症に伴う発疹は水ぼうそう以外は特効薬がないので全身状態に気を付けながら経過をみていきます。
しかし、皮膚のぶつぶつによる苦痛症状については自宅でも対応することができます。子どもが皮膚のぶつぶつの部分に痒みを訴えた時には、水で濡らしたタオルや保冷剤でその部分を冷やしてあげることで痒みが和らぎます。冷却シートはシートの粘着部分が刺激となり痒みを強くする可能性があるため使用は避けましょう。また、低年齢の子どもでは広い範囲を冷やすことで体温の低下を招くことがありますので、局所のみにしておきましょう。
発疹が出て医療機関を受診された場合、まずは発疹の形態や分布、他の症状や流行状況などを確認して原因を特定していきます。必要であれば血液検査などを行います。そして原因に対する薬と症状に対する薬を処方します。原因がはっきりしなくても症状に合わせて処方を行う場合があります。また、感染症が原因であれば隔離の必要性などを説明します。アレルギーが原因で、アレルゲンが特定できれば回避についての指導を行います。