高尿酸血症と痛風

高尿酸血症とは

高尿酸血症とは、尿酸の血中濃度が高い状態です。また、尿酸の結晶が関節に蓄積した結果、痛みや炎症が起こることがあります。これがいわゆる痛風です。
割合としては男性に多いことが特徴で、通常は中年期の男性と閉経後の女性に発生します。若い人では非常にまれであり、30歳より前に発症した場合は比較的重症となる場合が多いことが特徴です。

尿酸と痛風の関係

尿酸とはプリン体の代謝産物であり、肉や魚、豆腐などにも含まれ、特にモツ・干物・白子・うに・レバーなど細胞の詰まった食品に多く含まれる栄養素です。プリン体の生理的役割はわかっていませんが、通常ならば代謝後には尿や便に混じって体外へ排出されます。
人の身体では1日約0.6gの尿酸が作られますが、この尿酸の産生量が多くなる、あるいは代謝の能力が低下してしまうと、体内に尿酸がたまってしまい、痛風になります。
尿酸値の基準値は7.0mg/dlまでとされており、この値を超えると高尿酸血症という状態です。
この状態が長く続くと、関節の中で尿酸が固まって結晶となります。尿酸の結晶が関節の骨と骨の間(関節腔)に落下すると、白血球はこれを異物と捉えて攻撃します。これが、痛風の症状である「痛み」を発生させます。

高尿酸血症の原因

高尿酸血症は腎臓から尿酸を排出する機能が低下したり、暴飲暴食、肥満などが原因になるとされています。
暴飲暴食については、特にプリン体を多く含む食事を多く食べることが痛風の原因となります。また、アルコールは尿酸の生成を促進し、腎臓の機能を妨げるため、症状が出やすくなる傾向にあります。

痛風の症状

痛風の主症状は、突然の関節の腫れと痛みです。これを「痛風発作」といいます。
足の親指の付け根(第一中足趾節)に好発しますが、足関節、足の甲、アキレス腱のつけ根、膝関節など、下肢に多くみられ、歩行困難になることもあります。
痛風発作は1週間から10日で症状が消失し、次の発作までには無症状です。しかし、1年以内には症状をくり返します。痛みの間隔は次第に短くなっていくことが特徴です。
そのまま放置すると、尿酸塩を中心とした肉芽組織(痛風結節)が現れます。
痛風発作の間隔が短くなってくると、尿路結石など腎機能に問題が起こっている可能性も考えられます。尿路結石ができ腎機能が悪化すると、腎不全へと移行する可能性もあります。

痛風の検査

痛風は血中の尿酸値が高いことと、痛風特有の臨床症状があれば、診断ができます。
痛風を確定させるための検査には、血液検査(尿酸値の確認)、尿検査、関節液の顕微鏡検査などがあります。
血液検査は、痛風の状態によって正確な値が出ないこともあるため、尿検査も併せて行います。病因が明らかな痛風においては,確定診断のために「顕微鏡検査」を行うことがあります。これは、痛む関節を針で刺して液体を抜き、顕微鏡で詳しく調べる検査です。

痛風の可能性を知る

以下の項目にあてはまるものが多い方は、痛風である可能性が高くなります。

  • 痛みのピークは、症状が出てから1日以内であることが多い
  • 以前にも同じような症状があった
  • 痛みが出るのは、一つの関節であることが多い
  • 赤く腫れている関節、痛みのある関節がある(親指の付け根、足首の周りなど)
  • 特に、足の親指の付け根の関節に、激痛や腫れがある
  • 血液検査で尿酸値が高いといわれた

痛風の症状はリウマチと状態が似ているため医療者でも誤診してしまうこともあるようです。ですので、素人判断は絶対にしてはならず、明らかな痛風発作と思われる場合も早急に医療機関を受診されることをおすすめします。

高尿酸血症の治療

日常生活の改善と内服薬で行われます。

日常生活の改善

内臓脂肪の蓄積は、高尿酸血症の大きな原因にもなりますので、肥満状態を是正することが重要です。
食事については菜食を主とし、果糖・プリン体を取り過ぎないように注意し、規則正しくバランスの取れた食生活を意識します。さらにアルコール(特にビール)はプリン体を増加させる可能性がありますので、普段の食生活でもアルコール類は控えます。アルコールを摂取した時は、尿酸を早く体外へ排出できるように水分摂取量を増やすようにします。プリン体を体外に出すためには、1日2Lほどの水分摂取が推奨されますが、心疾患、腎疾患などで水分量に制限がある方は、アルコールと水分をたくさん摂ることはできません。自己判断では行わず必ず医師に相談するようにしましょう。
また、食事に加えて取り入れるのが運動習慣です。筋力増加や瞬発力を必要とする無酸素運動ではなく、ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を、無理なく毎日行うようにしましょう。

内服薬

痛風発作を起こしたことがある方は発作予防に尿酸をしっかりと下げる必要がありますので、薬物療法の適応です。また、尿酸値が9.0mg/dl以上と高値の場合も薬物療法が必要となります。
一般的に血清尿酸値を6.0mg/dL未満に維持することができれば、痛風発作を再発させないようにコントロールできます。